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日本人として

宣伝でもなんでもない個人的な感想ですが、ユナイテッドアローズ、栗野さんが語られているマーガレットハウエルのコラム、LIFE NOTESがとても面白かったので、それを読んで自分なりに思ったことを少し書きます。

今自分が思い描くイギリスらしさとは。
頭の中にあるのは形にならない抽象的なことばかりだけど、少しだけ輪郭がくっきりした感じがしました。

今までイタリアやイギリスの服を“その国の服”として見続けてきて、それぞれの独自性や優れた部分を伝えることに力を入れてきたつもりだけど、残念ながら国っていう枠で服を見る、そしてその服を通して国を知る人はとても少ない、というか減っている気がする。

服のことしかわからないけど、今多くの支持を集めるためには、世界に通用する分かりやすいモノやセンスか、あるいは個人個人の強烈なキャラクターや発信力、そのいずれかが大きな要素としては求められていて、さっき言った”国”という枠、言うなら日本人であることとか、日本人としてイギリスの服を選ぶことへの誇りとか、そういった本来あるべきものが服に関してはあんまり意識されてないというか、半分空気みたいになってる気がします。
まあ必要は必要だけど、それって当たり前のことだよね、っていう。たしかに当たり前なんだけど、それって本当はとても素晴らしいことなんだよと、ここで声を大にして言いたいです。

その”~人”という意識がどこか蔑ろにされてるなあと、今までずっと国単位で服を選んで伝えてきた立場として最近はとても寂しく感じていて、勝手に一人で落ち込んだりしていたけど、このLIFE NOTESを読んでちょっと我に帰ったというか、日本人として感じるイギリスの良さや”らしさ”って、当たり前だけど日本人だけにしかできないことなんだよなと改めて思ったわけです。(イタリアはまた話が少し変わるので別の機会に笑)
国という枠組みで服を見てそれを伝えることって、流行りのやり方ではないかもしれないけど、かといって決して的外れなことをやってるわけではないんだと。むしろとても大切なことなんだと。そう思えたことは、些細なことかもしれないけど自分の中でとても大きかった。

たとえばユニオンジャックに見るイギリスとこのマーガレットハウエルに見るイギリス。
前者は誰にでも分かることだけど、後者は限られた一部の人にしかわからない。
決して後者に失礼なことを言ってるわけでも、排他的な意味合いでもなくて、イギリスの服をイギリスだからこそ生まれた、イギリス人だからこそ作れたと思えるのかどうかってことです。そんなこと考えたこともないわ、って人は結構いると思う。
日本では既にビッグネームなので、わざわざそんなの理解しなくても好きな人はたくさんいるし、もちろんそのイギリスらしさだけがマーガレットハウエルの良さではないので、他の部分に惹かれて着る人もたくさんいる。

でもたとえ無意識的にでも、日本人だからこそ良いと思える部分って実は少なくないんですよね。世界中の誰もがそうできるわけじゃない。
本国イギリス以外でこのブランドが大きく支持されている国が日本をおいて他にない理由。それは決して日本が豊かだからとか人口が多いからとかではなくて、単純に僕らが日本人だからなんです。
日本人にしかない、栗野さんの言葉を借りるなら「侘び寂び」、静かで質素なものに心が和んだり、古いものやくたびれたものに趣を感じたりする僕ら特有の美意識が、マーガレットハウエルの服の表裏にあるイギリスの美的感覚、細やかな気遣いとか時間の経過を大切にする気質のような、目には映らないものを潜在的にでも捉えているからなんだと思う。

その美意識って日本人なら誰でも持ってるはずなんだけど、みんなあんまりそこにフォーカスしてない、誇りを持ってない気がする。
日本で支持の多いイギリスの服、たとえばバーバリーとかバブアーとか、ポールスミスとかに関しても、みんな流行やステータス、安心感や連帯意識がプライオリティで、「日本人だからこそ分かるイギリスの良さ」というものに重きを置いて選ぶ人や着る人っておそらくあんまりいない。
もちろん多かれ少なかれ感じてはいるんだろうけど、本当はもっとずっと深いところで通じあってるんだよ、こんなにイギリスの素晴らしさがわかる人種は他にいないよ、それができたら今までの何十倍何百倍もイギリスの服が面白くなるよ、偉そうだけどあえて強めにそう言いたいです。

ビッグネームだけでいいなら、そんなこと意識しなくても別に構わないと思います。それでいいなら。
でも僕が好きで自分で選んだり店に置いたりするような、ほとんど誰も知らない、地味で目立たない、本当になんでもない、イギリス人ですらスルーするようなモノにもう一度命を吹き込んで、活き活きと輝かせることができるのは、僕らの中に必ず存在する、日本人だけが持っている意識や感覚こそなんじゃないかと思ってます。
誰にでもわかるイギリスの良さ、それはそれでいい。でも僕らにしかできないことなら、せっかく日本人として生まれたんだし、やってみても楽しいんじゃないかなと。そんな感じです。

なんかまるで啓蒙しているかのように見えますが、実はほとんど皮肉です。
アホでも分かるイギリスだけで満足なの?ホントにイギリス好きなの?まずホントに日本人?っていう。
ずいぶん余計なお世話だけど、僕自身としてはよくない。それじゃ納得できない。
あんまり言うと誹謗中傷みたいになっちゃいそうなのでこの辺で。
画像なしで読みづらくてすみません!

あ、LIFE NOTESは一つ前のVol.11、西加奈子さんのインタビューもすごく面白いので、時間があれば読んでみてください。
ってなんかプレス紛いなことしてら…