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返事とマスクをしないイギリス人

明日、イギリスから送った荷物が届きます。
監禁状態で鬱屈した隔離生活も半分を過ぎました。

今ですら手の付かない旅の報告がもっと手が付かなくなる前に、
覚えている範囲で振り返っておこうと思います。

楽しかったことよりつらかったことの方が
記憶に残りやすいのが人間ですが、
事実頭に浮かぶのはコロナ関連のことばかり笑。
なので、本題の服はいったん置いといて、
まず状況報告から記録して頭を整理します笑。

渡航前のテスト予約やロケーター登録、
到着してすぐのDAY2テスト、
そして帰国前のPRE-DEPARTUREテスト。
渡英する人はみんな義務化されている、
終えてしまえばこんなもんかって程度の手続き。

でもやるまではいったい何が正解か分からない、
もし不正解なら飛行機に乗れない、10日間監禁、
日本に帰れない、という各ペナルティ付きとなると、
ほんの些細なことですらパラノイド化します。
日常で例えるなら、家のカギを閉めたかどうかで
一日何も手につかないとか、大げさだけどそんな感じ。
常にその圧が軽くかかった状態で動いていたので、
OSが脆弱な自分にとってはなかなかのもんでした。

(飛行機は空いてて、前後左右に人がいなかった。
サービスもめちゃくちゃ丁寧で、エコノミーなのに
ビジネス並に快適でした。JAL最高です)

イギリス人はマスクをあんまりしない。
私感ですが着用率は街で3,4割、電車バスで6,7割くらい。
してない人に限っていきなり大声で叫んだりするので
最初は怖いなー、慣れてからはうるさいなーと。
久々に海外に来たって実感するのがこういう時です。

イギリス人の知り合いに言われたけど、
the weather is bad, food is bad, transportation is bad..
どうよ、久々のイギリスはタフだろう?って。
生活におけるストレスが比較的大きい国なので、
その上にマスク、なんて耐えられないのもわかる。
発狂してしまう人、性格がひん曲がった人が多いのも
仕方ないなと、勝手にイギリスを憂いてました。

あと寒さだ。イギリスの冬はやっぱり寒かった。
単純に気温だけでは伝わらない独特の寒さ。
よくイギリス人に説明するんですが、
日本の寒さは肌で止まる、イギリスの寒さは
骨まで届く、って。東北、北海道の人は
その感覚が分かるのかもしれないけど笑。

重い荷物を背負って、寒いなかを歩き回る。
毎日冬の低山に登っているような感覚。
装備をミスったら身体を壊しかねない環境。
上下メリノウールのインナー着て、
ネックウォーマーを腹巻き代わりにして、
水筒も持って、毎日登山仕様で出かけてました。
特に水筒は大正解、いつでもどこでも
熱いお茶が飲めてめちゃくちゃ役に立った。

(Kilburn駅。ステイ先からバスで10分くらい。
都心まで最低3,40分以上かかるロケーションで
何かと移動には苦労しました)

食はほとんどピザかコリアン。たまに中華。
大好きなイングリッシュブレックファストも
今回はほとんど食べなかった。
ピザは味がだいたい同じだし、満腹になる。
コリアンは身体が芯からあったまる。
大事なのは食べ慣れててハズレがないこと。

初日の夜に仕方なく食べたケバブがクソ不味くて
不味いものを食べると気持ちが落ちるなと気がつき、
エスニックとか食べ慣れないものとか、
ハズレを引く可能性がある食事への旅気分な
チャレンジは避けました笑。
仕入れのやる気を保つためにすごく大事。僕は。

もはやイギリスの食を楽しむ気なんか毛頭なく、
舌が慣れている味で心と身体を安定させた状態で
過ごすことが何よりの優先事項でした。
30代の頃はまったく気にならなかったけど、
40代になると優先順位がマジで変わります。
まあピザ食ってる時点でまだ若いのか笑。

(ノースロンドンのローカル食堂。
ポッシュなレストランよりこういうほうが
ずっと気持ち的に楽だし快適。イギリス飯を
ちゃんと食べたのはこの時くらいだった)

小さなトラブルは海外渡航にはつきものだけど、
今回もいろいろありました。

一番キツかったのが帰国3日前の出来事。
ちょっと長いですが。

いつもは集荷の前日にやっていた梱包作業も、
今回は量が多く、一日じゃ確実に終わらんなと
集荷の2日前から、外回りを午前中で切り上げ、
帰宅後は飯も食わずに仕分けから梱包までを
朝まで貫徹したんですが、これがマズかった。

身体のエネルギーが切れ、寒気、だるさ、頭痛、
お腹も壊してまったくソファから動けなくなり、
その日の予定は台無し。一応外出るには出たけど、
貴重な日曜日が何も買えずに終わりました。
完全に風邪状態になり、体力も気力も底をつきそうな中、
ウーウー言いながらARGOSで梱包資材、
TESCOで水と果物を買って、カメさん並のスピードで
なんとか家に帰り着いたのが午後3時。

集荷は翌日朝、そしてその午後にはPCRテスト・・。
まだまだ梱包するものは残ってる。にしてもツラい。
パイナップルを必死で食べ、がぶがぶ水を飲み、
ベッドに横たわって、もうこれは感染したなと。
気をつけていたつもりだったけど足りなかった、
イギリスのコロナ事情ナメてたなあと。

陽性なら日本に帰れないな、チケットもパアだ、
てか滞在をもう2週間延長しないといけないのか、
そしたら新しい滞在先もまた予約しないと、
でもカードも限度額いっぱいでもう使えない、
両親や気にかけてくれる友達に申し訳ない、
てか重症化したらどこにいけばいいんだろう、
そんな絶望感で意識が遠くなりました。

ただ梱包だけは終わらせよう、でもまずは寝よう、
でも寝たら間に合わないかも・・ そんな状況で
悪寒と恐怖に震えながら夜9時まで眠り(結局寝た)、
起きても体調が全然戻っていなかったので、
日本食屋を探して、バスと電車を乗り継いで、
20ポンドする鍋焼きうどんを夢中ですすってきました。
別に美味くなかったけど、日本人にとっての日本食ってすごい。
身体にみるみる力が戻ってくるのがわかった。
完全には戻らなくてもなんとか動ける程度まで回復。

(帰り道に撮った女の子。
上下スウェットにウールコート。ありがちでも、
細身のコートは新鮮。ソックスも独特だった。
僕が撮り終わったと同時にこの子タバコ出して
ぷかーと吸ってました。撮影おつかれさま笑)

そして夕飯後は夜通しでひたすら梱包作業。
熱のせいか部屋の温度か、汗が止まらなかった。
びしょびしょの状態で黙々と服を箱に押し込み、
種類と素材と数をノートに書き込む。

朝9時。集荷の時間。終わってない。
電話して2時間伸ばしてもらうようお願いする。
11時。箱に住所を書いている最中に集荷来る。
インターホンに映るヒゲ面の大きな男に
部屋まで取りにきてくれるようお願いすると、
”俺はこのビルに入る許可をもらってない。
荷物は全部入口までお前が持ってきてくれ”。

25キロ×30m×15往復、階段込み。
アメリカ組が聞いたら鼻で笑いそうだけど
この身体+あの体調+感染してるかも、で
その作業はなかなかの体罰でした。
1時間近くかけて全部運び出したあとは、
あまりの疲労で体調が悪いかすらわからなかった。
すぐにシャワーを浴びてテストの現場に。

3時間以内に結果が出るRAPID PCRを予約したので
結果が出るまで近隣で時間を潰すことに。
でも3時間たってもメール来ず。
3時間半。4時間。まだ来ない。ずっと緊張状態。
どうしてもその日のうちに紙で受け取りたかったので
現場に戻り、まだかよ!遅すぎるぞ、と文句を言う。

”申し訳ありません、結果は陰性なんですが
システムがスタックしておりましてメールが送れて
いないようで・・"とか、"証明書も日本のものは
非常に複雑で・・"、とかだらだら言い訳されて、
更に待たされることに。
もう陰性がどうとかより、ずさんなサービスへの
怒りしかなくて、気づけば体調はすっかり戻ってました笑。

(別店舗含めて3回通ったマークス&スペンサー。
センターの店舗はなんと23時まで開いてます。
イギリスの国民的ブランドがいったい今どんな様子か、
僕なりに肌で感じたことをお店でお話できたら。)

結局検査から5時間程でようやく証明書を受け取り、
(全部終わったあとのコリアンが超絶美味かった・・)
次の日無事に飛行機に乗ることができましたが、
今までとはちょっと違ったストレスレベルで
自分でもよくクリアして帰ってこれたなと思うくらい。

というか自分より前に渡英してた他店の人たちって
どんだけすごいんと、ますます尊敬。イギリスに限らず。
たまたま同じタイミングで来ていた同業の方たちが、
冗談抜きでみんな勇者に見えました笑。
話も聞かせてもらい、モチベーション上げてもらいました。
これは体験しないとわからないことだけど、
この状況下で海外に行ってるお店はホントすごい。
楽しい反面、見えない苦労もめちゃくちゃしてるはず。
向こうにいる時は夢中だから気がつかないし、
かんたんにやってそうに見せてるお店もあるけど。
それを可視化させて伝えちゃう自分はまだまだですね笑。
それでもまあどんな感じか知れたので、結果行けてよかった。

いつかコロナとうまく共存できる日が来て、
また不自由なく仕入れにいけるようになっても、
この異様な情勢の中で海外仕入れに行ってるお店、
そのお店にあるモノの価値は特別だと思います。
大切なことは他にもたくさんあると思うけど、
今だからこそ海外仕入れのお店の価値は大切に
されてほしい部分かなと思います。よくわからんくなった。

他にもトラブル的なお土産話は山ほどありますが、
それはお店の方で、例えイヤだと言われても話しますね笑。

次のブログでは本題の服の話をします。
年内にはあげるつもりです!頑張れ俺。
ちなみに隔離期間が29日までなので、
残念ながら年内の営業再開は難しそうです。
年明け8日あたりからかな。ではまた。

(しょうもない写真しかなくて申し訳ない・・)