ナイトアウトブロギーグルーブ(1)
こんばんは。
今日来店予定だった方は申し訳ありません。
お直しに出来上がったもの取りに行って、
写真撮ってブログ書いてスチームかけて
値付けして・・絶対終わらねえ、と確信して
準備に集中させてもらってます。
あんまりインスタにアイデアも情緒もない
ただのブツ撮り写真を載せたくないので、
こっちに全部載せて紹介していこうと思います。
載せたものは全部明日から並んでます。
まず最初はイタリアのスーツ。
いくつか前のイタリア編のarticleに載せた
ツイードジャケットの補足で、もう一つ
俺流サルトあると言ってたのがこれです。
よくそっち系の雑誌でクラシコやサルトって
単語くっつけて紹介、羅列されてるような
有名ブランドには正直あんまり興味がなくて、
CPやストーンにハマる前は、サルト物は
頑なにローカルメイドに絞って探してました。
2年半ぶりにイタリア行ってコロナにかかって、
ブランドネームしか追えないくらいロクに
頭が回らない状態でモノを見てたんですが、
このスーツはそれでも、”ん、なんだキミは?”と。
コロナ前の仕入れでたくさん見てたおかげで、
身体が無意識に反応してくれました。
これもツイードジャケットと同じで
名前がなく、ほぼほぼオールハンド。
一度イタリアのこういうのを知ったら
一流ブランドの素晴らしい仕立てですら
なんか物足りなくなります・・。
人を惹きつけるのは結局モノより人。
前のarticleで、歪(いびつ)な、と
たしかそう形容した気がするんですが、
帰国して冷静になって着てみたら
まったくそんなことなかった。
内側の手仕事だけ見て早合点してました。
人のクセもイタリアのクセもない、
フォーマルウェアらしい堅さすらない、
サイズさえ合えば人を選ばないような
包容力のある形、スタイルでした。
何年もイタリア行って無数に服見てきたけど、
自分はまだ何もイタリアを知らないなあと。
イタリアのスケールの大きさ、あの国には
まだまだ楽しいことが眠ってるんだと、
そこまで思えたような服。
にしてもこの内側の作り。
自分は服を作れないけど、それでも
ヘタクソ!と思わず罵ってしまう手仕事ぶり。
たぶん今まで良い服を見すぎたせいなのか、
作りが良い=良い服、という刷り込みが
いつのまにか染みついてる。
だからこんなブサイクな仕事がすごく
新鮮に感じるし、外見と中身のギャップが
ありすぎてドキドキする。
一流ばかり追いかけてる人はもしかしたら
このスーツで我に帰れるかもしれません。
僕にとってもこれを着てくれる人にとっても
イタリアの夢が広がる一着。
これもイタリア、のウールスラックス。
あとで載せますが、例えばロロピアーナの
タグみたいに品質の高さがわかる素材表記と、
ローカルサルトの名前が一緒にくっついてる。
素人でも理解できる質の高さと、こんな無名の
サルト物なんて俺しか着てないだろふふん、
ていう自尊心を満たしてくれる情報と。
あとは服自体が地味なら僕はもうそれで充分。
左端のやつです。これあるとないとでは
個人的に気分が全然違います。
パラビアーゴというミラノ郊外の街でした。
肝心のサルトの名前は読めませんすみません。
予防線としてぜんぜん詳しくないですが、
タスマニアウールの120なら品質は間違いない、
気がしてるけど。実際すごく気持ちいいし。
もし間違ってたら教えてください。
サイズも大きいのでカジュアルに履けます。
店に並べているボロい服、綿のセーターや
色あせたスウェット、良いバランスだと思う。
こういうの死ぬほどあるんだろうけど、
探し方がヘタでこれ一本です。すみません。
次はイタリアつながりでCP COMPANY。
有名なA-1フライングジャケット。
CPの中でもすごく好きなモデルです。
CPもストーンも、それぞれの精力的な
プロモーションの成果で、日本でもだいぶ
浸透しましたね。普通に見るようになった。
おかげでイタリアで買いづらくなるという
致命的な弊害も生まれましたが笑。
マニア心をかき乱す条件が揃っているので、
一度興味持ったらどんどん古い方、珍しい方に
引っ張られます。その引力はものすごいです。
世界中にコレクターがいっぱいいるのも当然。
僕も数年追いかけてはいますが、ただ僕は
マニアでもコレクターでもないです。
自分のものもあんまり持ってません。
ただでさえイタリア現地では出現率の低い
マニアックなものが、仮にもし見つかっても
それはお店に出さないといけないからです。
なのでコレクター路線は早々に諦めました。
万一100着見つかったら1着くらい自分のものに
できるけど、今の自分の仕入れのやり方では
それはほぼ不可能だと思います。
古い、珍しいのマニア路線じゃ勝負できない。
なら現地仕入れのアドバンテージはなんだろう、
自分だけが伝えられる面白さってなんだろう、
仕入れをしながらそんなことばかり考えていて、
見つけた抜け道の一つがこれでした。
クソボロい。これですこれ。
現地で出てくるCPやストーンで、まともな
コンディションのものは全体の半分以下。
ただでさえダントツに貴重な商材なのに、
きれいなものだけ選んで買ってたらトレーダーに
嫌われます。お前じゃなくても他に売れるわと。
まともに相手してもらえなくなると思います。
パッチがない、なのにダメージはある、
なんだこれは!と思ったらフェイク、
そんなんばっかの中からどれ買うか選ぶわけです。
ええーどうしようどうしようと迷って迷って、
そんなことを繰り返していたらいつの間にか
ボロやフェイクに愛着が湧いてきてた。
この辺を買うようになったのはそんな流れ。
ボロくなるように作ってるとしか思えない服なのに
ボロはイラネというのもおかしいなと思ったし。
これならコレクターは手を出さないだろうし、
好き好んで着る人もなかなかいないだろうし、
ヴィンテージ出身の自分だからこそこの面白さを
伝えられると思ったし、んなわけでこんなボロい
CPやストーンが今では大好きになりました。
洗っても落ちなかった衿の黄ばみ。
はいはいよしよし。子どもはいませんが、
出来の悪い子どもってこんな感じなのかな。
しっかり世話しても応えてくれない感じ。
それでも僕にとってはとてもかわいい。
これは着撮りもしたので、あとでインスタに
ポストしたいと思います。
次はSTONE ISLAND。
重くて厚みのあるコットンのスウェット。
95AWのヴィンテージ。雰囲気ありますね。
これはイタリアじゃなくイギリスで。
現時点でまずパッチがないです。よしよし。
やや温かみあるスレートグレー。
ストーンは色が本当にきれい。
ただ武骨で男らしいだけじゃない。
まあ僕が言うまでもないけど。
で、左下の方がヘンです。
なぜか内側の紙が見えています。
とんでもないことやらかしてくれてます。
デザイナーさんのスタジオにあったもので、
聞いてはないけど、おそらく生地を作る過程で
サンプルとしてカットしたと思われます。
普通ならネガティブなこのコンディション。
でもヴィンテージのストーンに今こんなこと
できる人まずいないし、こんなストーンを
着てる人も売ってる店もまずないだろうし、
あと中に着てるものがこの窓からのぞいたら
それはそれで楽しいしと、喜んで買いました。
ただ古いストーンを着るよりもずっと個性的。
いろんな着方、スタイルがあっていいと思うし、
つっこまれたらそれはそれで話が生まれる。
いいこと尽くしじゃないですか?
僕にとっては自己満を尽くしたスペシャル。
次もイタリア。
バルスタースタイルのブラックスエード。
僕のイタリアの原点の一つ。原点回帰。
丸っこくて柔らかいのにちゃんと男らしい。
やっぱり好きだと再確認。
もう言い飽きたくらい今まで言ってきたけど、
このイタリアンスタイルのレザージャケットは
90%、いや95%がブラウンかブラウン系統。
他にアイボリー、ネイビー、ブラック、グリーン、
色々あるけど数はそんなにないです。
珍しい色ばかり探してて、肝心のブラウンで
良いものを見逃している可能性もあります。
でもブラックのヴィンテージが他国より少ない
イタリアだからこそ、少しだけ特別な感じ。
表革のブラックも買ったんですが、
それが入った荷物が未だに届いてない・・。
どうなってんのイタリアの物流・・。
これはディアスキンではないんですが、
もしこれがディアスキンなら売らないかも。
逆にある程度厚みがあるぶん、寒くなっても
着られるというメリットがあります。
ブラックのスエードにありがちな、日焼けで
赤みが出る現象もこれはほぼありません。
びしょびしょになって背負って帰ってきた
手持ち分です。よろしくお願いいたします。
真夏のうちは、店の中の雰囲気をできるだけ
軽く涼しげにしたかったので、黒い服はほとんど
並べてませんでしたが、涼しくなりつつあるので
ブラックも出し始めようと思っています。
赤いシャツ、スウェット、セーター。
すべてイギリスのMARKS & SPENCER。
お客さんに貸してもらった古い雑誌にあった
80年代のポールスミス、コベントガーデンの
ショップのショーウィンドウ。
赤いコート、ブルーデニム、茶色いブーツの
組み合わせが掛けてある小さな写真。
覚えている赤のきっかけはたぶんそれです。
80年代、90年代の写真を見ていると、
当時は赤がベースカラーの一つとして
メンズでも扱われていたように思えます。
僕が小さい頃も、赤を着ている男の人は
身の回りにも普通にいたけど、彼らは別に
オシャレではなかったので(ごめんなさい)、
それだけ赤がマスカラーで、日常として
普通にあったってことだと思う。
今は着ててもTシャツかスウェットくらい。
それでも昔に比べるとだいぶ少ない。
当たり前だったものがいつの間にか消え、
それに気がつくと途端に恋しくなる。
そんな気持ちで赤を追いました。
ずっとないがしろにしていた色なので
そう簡単に寄ってこないだろうし、
これからも気長にアプローチします。
綿の粗さが写真から伝わる良い質感。
MARKS & SPENCERは本当に優秀です。
同じ赤でもいろんな赤がありますが、
これは少しだけイエローの強い赤。
シアンが強くなるとハードル上がるけど、
こっちなら比較的入りやすいような。
ふだん赤を着ない自分視点はそんな感じ。
流行ってからじゃつまらないので、
半歩先に赤を着たい。遅くとも冬までに。
シャツよりセーターの方が出現率低いですが、
スウェットになると更に出なくなります。
イギリスという国特有の古着あるあるですね。
90年代の無地はアメリカでも価値が生まれつつ
ある気がします。インスタ見た雑感だけど。
これはLEISUREWEARという珍しい表記。
スウェットでしか見たことないです。
実物は画像ほど色褪せてはいませんが、
着ていくうちにこうなっていくはずです。
しかも70/30。コットンとポリの割合です。
このコンポジション、もしくは80/20が
個人的に一番気持ちいい。ふわふわした手触り。
小さいけどちゃんとVもはめ込み、かわいい。
単純にアメリカより数がないって理由が主ですが、
イギリスのスウェットってだけで嬉しい。
探す過程でいろいろ見ていろいろ買いましたが、
MARKS & SPENCERが頭一つ抜けて良いです。
数枚しかないのでまだ自分のものにはしてません。
出すタイミングがあえばラッキーと思ってください!
さっきのイタリアのタスマニアに
赤のボタンダウンと粗い綿のセーター。
ちなみに綿のセーターも多少数あるので、
というか9月10月のお店の主力なので、
どんどん並べていこうと思います。
段落がもういっぱいとのことです。
後半に続きます。てか少し休みます。