
ナイトアウトブロギーグルーブ(2)
続きです。
赤つながりでワインも少しだけ。
好きな色だけどどんな色合わせがいいのか
未だに定まらない色の一つ。
レールに差そうとしても、どの色の隣が
いちばん落ち着くのか全然決まんない。
これはHUGO BOSSというブランド。
イギリスのチャリティショップでやたら見る。
もちろんここ最近のものだけですが。
店名は忘れたけど、あるチャリティ系列では
どの店舗もこのブランド激推しでした。
イギリスじゃそれだけ人気かつdisposable。
ほんと数えるほどしか買ったことないし、
未だにポジションが分からないんですが、
イギリス人の知り合いに聞いたら
German Armaniだって。なるほどなあ。
アルマーニはなかなか手が出ないクラスの
人たちが割と手にとりやすいsubstitution。
このブランドのポジションはそんな感じ。
チャリティで見るような近年物でいったら
ほとんどのものがめちゃくちゃシンプル。
服好きには正直心に響かない、刺さらない。
だいたいBOSSってロゴが入ってるし。
日本じゃコーヒーなのよ。
逆に刺さるようなものは本筋ではないか、
これみたいなヴィンテージかのどっちか。

これは30年くらいは前のものですが、
言われてみたら確かにアルマーニっぽい。
c1990のマスキュリンな男性像。
自分自身ほぼ重なる部分がないからこそ
遠く霞むレベルで憧れがあります。
当時のその男性像も、元をたどれば
アルマーニに行き着くと思いますが、
それくらい沢山のブランドが影響されて、
俺もやるー!とマネをした時代。
袖や身頃の巾がたっぷり取られていて
裾がぎゅんぎゅんに絞られてる。
着たらすぐ当時のイメージが湧くくらい
わかりやすく、腑に落ちる服。
その意味では今も昔も変わりません。

からのアルマーニ。
80年代のJEANSラインからデニムブレザー。
これはもちろんアルマーニだからってのも
あるけど、何より人の愛着を感じたからです。
adored、belovedと言われるような状態。
これも、もしかして履いてた?ってくらい
袖がヴィンテージジーンズになってる。
市場でもてはやされるボロって、だいたい
もっと古いワークウェアとかが多いです。
あんだけボロを有難がって、とんでもない
価格で売り買いしているのに、なぜかそれが
コンテンポラリーになると誰も見向きもしない。
服を買い替える余裕もなく、毎日同じの着て
ひーこら働いてたらボロくなるのは当たり前。
服が好きだったわけではなく、ボロくなっても
それを着るしか他に選択肢がなかったわけです。

でもこれが作られた80年代は、一人一人が
服に使うお金も、所有する数もそれ以前とは
比較にならないくらい増えた時代なので、
それだけ一着一着と向き合う時間が短かった、
要はボロが生まれづらい時代になりつつあった。
アルマーニで服を買ってるのに、それ一着しか
着るものがないなんて人はなかなかいないので、
このコンディションは愛された形そのものです。
一着を着続けるしかなかった大昔とは違って、
めちゃくちゃ好きで着てたってことが伝わる。
服に対する愛情。僕はそれがコンテンポラリー
ボロの魅力かつ新しい価値だと思ってます。
今なんて服買っても飽きたら元値かそれ以上で
売れるし、一着を所有する時間が極端に短い上に
キズをつけたらリセールバリューが落ちるので、
高い服ほどみんな丁寧に着る。
ハイブランドでボロ、なんてまずありえない。
だから希少価値って意味では、古いワークより
ハイブランドのボロの方がずっと高いはずだけど、
市場がそこに価値を置く動きはないですね。
まあ市場がどうあれ僕はこういうの好きなので、
今後も探し続けるし、扱い続けるつもりです。

90年代終わりのDIESEL。
DIESELらしいテックウェアのアウトプット。
僕が普段なら買わない系統の服です。
じゃあなんでここにあるかって言うと、
これをリアルタイムで買って履き倒して、
ボロボロにしてから僕に売りつけた張本人から
直接これにまつわる話を聞いたから。
イギリスの地方に住むデザイナー志望の学生が
当時のテックファッションにドはまりして、
これ買って以来クラブ行くとき履きまくったと。
リアルなlate 90'sのイギリス人らしいストーリー。
想像はしたことあるけど、ホントそんな風に
当時を生きてたんだ、って。
これがただ店に並んでるだけならパスしてる。
訛りがすごい上に早口でまくしたてられて
あんまり話がちゃんと入ってこなかったけど、
服と一緒にこれが売られてた当時の熱まで
おまけでもらった感じです。

左モモにあるアイロンを焦がした痕。
この人から買った服はこんなのばっか。
良い服なのにポツポツ穴が開いてて、
それ着てる時に草吸ってたから、とか。
ファッションの学校に通ってた割には
服の扱いザツすぎ。キャラそのまんま。
俺の作品が当時の地元紙に載ったんだ、
今でもその記事は切り取って持ってる、
今となってはfailed designerだけど・・
って話がなんか儚くて印象的でした。
今はインテリアの仕事をしてて、何とか
売れようと頑張ってるみたい。
ヴィンテージのグリーンてどちらかというと
ミリタリーウェアに代表される、イエローの
強い、土くさいトーンが圧倒的に多い。
でもこれはシアンの強い、コンテンポラリー
ヴィンテージならではのグリーン。
ティールとかボトルグリーンはずっと好きです。
真夏にもいくつか同系色を取り扱いましたが、
プロパーヴィンテージにはない価値の一つ。

同じシアンの強いターコイズと。
スウェットはイギリスのハイストリート、
cotton tradersのヘンリーネック。
だいぶ疲れてきました。

大好きなポールスミス。3着連続でいきます。
late 90sのタッタソールスポーツジャケット。
インスタにも着画載せたものです。
古いポールスミスを長年扱ってきて
気づいたことの一つなんですが、
ポールさんは0から1を生み出すような
いわゆるクリエータータイプではないです。
元々昔からあるデザインやディティールを
国やジャンルごちゃ混ぜにして置き換えて、
その組み合わせ方で誰も見たことがない
新しさを生み出す、っていう手法が多いです。
少なくとも僕の知る限りは。
これもイギリスのカントリーファッション
お馴染みの古くさいタッタソールチェックと、
グレンフェルみたいなゴルフジャケットの形。
ふつうタッタソールチェックって、シャツか
上着の裏地にしか使われてるのしか見ない。
それを表にのっけたスポーツジャケットなんて
プロパーヴィンテージには存在しません。
しかも素材はリネンを使ってます。
お隣の国では伝統的にリネンを作ってるのに、
イギリスのヴィンテージにリネンはほとんど
使われません。強いていえば夏の旅行服くらい。
基本どこ行っても気温が低い国なので、わざわざ
風通しの良い素材を使う理由があんまりない。
ましてやゴルフにリネンとか、アホでも着ない。

裏の作りは夏のレジャージャケットのよう。
少なくともスポーツウェアにこんなのない。
普通なら交わることのないテーラーウェアと
スポーツウェアの相容れない部分を拾って
ごちゃ混ぜにして、いかにも昔からある
トラッドなメンズウェアみたいに仕上げてる。
ベースのデザインは元々あるものなので、
まあこういうのもあるよね的に片づけて
しまいがちですが、ポールスミスは誰よりも
早くそのアプローチを始めていた人です。
それが分かると楽しくなるブランド。
地味だけど本当に良い服。

古いフレンチにありそうなストライプの
頑丈な生地を使ったベスト。
仕入れの時にストーリーにもポストした、
イギリス最終日にマーケットで見つけたもの。
これはJEANSラインから出されてますが、
ポールスミスはJEANSラインのものも
普通にコレクションに登場させています。
91年か92年のショーの写真に載ってた
めちゃくちゃカッコいいシンプルな
コーチジャケットを前回見つけたけど、
それもJEANSラインだった。
他のブランドのJEANSラインとは違って、
メインと同じくらいのテンションで
デザインしてるものも実は結構多いです。
まあこれがコレクションに出た出てないは
どうでもよくて、単純にこのストライプが
理由もなくめちゃくちゃ好きなんです。
ポールスミスといえば僕はこのストライプ。
たぶん本人も好きなはず。80年代のものと
90年代のもの、両方で見たことあるので。
このセットアップとかあったら欲しすぎる。

共生地でシンチベルトも付いてます。
形こそクラシックですがあくまでカジュアル。
明るくくだけた感じがポールスミスらしい。
前回からちゃんと見るようになったベスト。
スーツの付属みたいな、バックが短くて
ヴィスコースが使われてるタイプは嫌い。
着丈が十分あって、生地も表と同じものを
使っているものだけしか買いません。
こんなにベストが面白いと思ったことは
今までないかも。この歳になってやっと。
少しずつ広がっていく世界。楽しい。

もうだいぶ疲れたので、数着残ってますが
これでいったん最後にします。
残りは売れてしまうかもですが、せっかく
写真撮ったし、後日またポストします。
late 80'sの古いオフィサートラウザーズ。
これもJEANSラインから。
たぶんワークミリタリーウェアに関しては、
R.NEWBOLDというブランドを始める前は
全部JEANSラインから出ていた気がします。
NEWBOLD社という工場が倒産しそうになり、
ポールスミスが買い取ったのが1990なので、
これは同年かその直前に作られたもののはず。
仕入れに行く前にこれのブラウンがあって、
たしかインスタでも紹介した気がしますが
これはそのネイビー。
イギリスのミリタリーウェアを扱わなくなって
もう知識も記憶もだいぶ薄れてきてますが、
たぶんこれは40年代のウールサージを使った
オフィサートラウザーズがベースです。
間違ってたらすみません。
ポールスミスはあのパンツに使われてる
チクチクしそうなウールサージを、
イギリスのワークミリタリーお馴染みの
ブルードリルに置き換えています。
こうやって見せられたら、まあそんな
アイデアもあるねと簡単に言えますが、
ポールスミスがやる前は誰もできなかった、
思いつかなかったアイデアです。

しかもドリルの色合いも、ヴィンテージで
よく見かける5,60年代以降のマゼンダが強い
ネイビーは違い、もっと古いワークウェアに
使われるシアンが強めのトーンです。
しっかりタックが入ったズドンとした形が
ヴィンテージらしいですね。
ポールスミスは基本ヴィンテージをソースに
してはいるものの、大枠はほとんどいじらず、
ヴィンテージ特有のあの重たい雰囲気だけを
ライトに、カジュアルにアレンジするのが
とても上手です。いったい何様ですか僕は。

ケツも男らしいですね。
ドリルにしてこのフラップデザイン。
細かいところがいちいち丁寧です。
ヴィンテージのイギリスやミリタリーが
好きじゃないと普通気づかないと思います。
...in a classic with the unexpected、
classic, wearable, with little secret、
ポールさんは自分のデザインについて話を
するとき、こんなことをよく言ってます。
あんまりそれと気づかれない理由の答え。
クラシック、ヴィンテージを心から
リスペクトしていて、むやみに崩さずに
自分なりのアレンジを加えるやり方は、
マッシモオスティにも共通してると思う。
こんなこと言ったらCPやストーンの
ファンやマニアから怒られそうですが汗。
でもポールスミスもまた違った形の天才。
どっちがすごいか比べられないくらい。
ただ単に日本でのイメージがポップ過ぎて、
誰もちゃんと見ていないだけです。
オスティ同様、誰も思いつかないアイデアを
見て、ほら見て!とひけらかしたりしない、
むしろそれを隠すように使い、あくまで表向きは
静かにしてるところが僕はたまらなく好きです。
小論文書けるくらいポールスミスに対しては
持論がありますが、この辺にしておきます。
一つ一つの話が長すぎますね。
なんとかもっと読みやすくできないものか・・。
全部書きたかったけど、残りは後日。
それでは明日からまた新しくスタートです。
どうぞよろしくお願いいたします。